【整理しました】漢字のとめはねはらいはどちらでもOK(シリーズ入試における「漢字」の書き取りって)

こちらでシリーズで書いた「書き取り」に関する情報ですが

https://www.magicaltoybox.org/kinta/2017/08/24/15485/

よく見たら、リンク切れが多発。

なので、整理することにしました。

ほぼ転載ですが、ご了解ください。

その1

学校の試験や大学入試では漢字の書き取りが必ずありますよね。高校入試だと配点率は1割にも占めるようです。
しかし,大学入試ではこんな事件がたまにおこったりします。

「受験票に「正解」が… 小樽商科大で出題ミス」(リンク切れ)

今はパソコンの時代なので書くことよりも読むことができれば相当なことができるはずです。
それに,大学に入ってから手書きのレポートを出すよりもパソコンでのレポートの方が圧倒的に多くなっているので,パソコンの操作ができる方が大切なスキルのようにも思います。
ところで,漢字の「とめ」「はね」って試験ではよくチェックされて×が付くことがありますが,実は基準って曖昧で,間違えた読みをしなければよい場合もあるそうです。
高校生がこんなビデオを作りました。これの最後を見ると,やはりパソコンのスキルの方が大切なのではと思ってしまいます。
【「漢字テストの不思議」】
http://www3.jvckenwood.com/tvf/archive/grandprize/tvfgrand_29a.html
flashの動画なので,iPadだと見られません。PCで見て下さい。
そんな中,発達障害の学生がパソコンの入力で大学に入った記事が出ました。

書くのが苦手、発達障害の20歳合格 鳥取大、PC使う(リンク切れ)

私も手書きはけっこう苦手です。就職した頃にワープロが導入されてどれだけ自分が助けられたことか。そういった意味では,私も読み書き障害があったのかもしれません。
しかし,たくさんの文章をワープロで書けるようになっていくと,文章の内容は豊かになったと感じます。
「表現する」ということがとても大切なことなのでしょう。
入試の試験で漢字を書くのか,パソコンの操作スキルを計るのか選択してもいい時代なのではと思いました。

その2

以前漢字の書き取りについてこのような記事を紹介しました。
入試における「漢字」の書き取りって
ここでは高校生が漢字の書き取りって意外といい加減だということを調べていたんですが,それを裏付ける本を東大の河野先生から紹介してもらいました。

https://amzn.to/30EG2j3

ご紹介してもらった言葉を転載します。

出たばかりの本です。
漢字の「とめ」「はね」、筆順にこだわりすぎるのは間違い、ということの根拠が書かれています。
漢字の書き方に厳しすぎる先生に苦労している読み書き困難な子どもへの朗報になるのではないでしょうか。
「とめ」「はね」は、フォントのデザインにすぎない、ということです。「常用漢字表」に載せられている「デザイン差」に関する記述が根拠です。「第2 明朝体と筆写の楷書との関係について」には、「木」の、はねる例と、とめる例が示されています。「木」は、はねたらまちがい、とはいえないわけです。
また、学校で現在教えられている筆順は、文部省初等中等教育局初等教育課編『筆順指導の手びき』(1958年)で示されたそうですが、その中の「本書使用上の留意点」には、「本書に取り上げた筆順は、学習指導上の観点から、一つの文字については一つの形に統一されているが、このことは本書に掲げられた以外の筆順で、従来行われてきたものを誤りとするものではない。」と書かれています。
ちなみに、「右」と「左」の書き順は、「右」は「ノ」から、左は「一」から書くように指導されていますが、中国では、どちらも「一」から書く筆順とのことです。

とても興味深いです。さっそく注文します。(注文しました)

河野先生の本はこちら

https://amzn.to/30AtsB8

その3

以前書いたこの記事
入試における「漢字」の書き取りって(その2)
講演でも,こんなPPTを使って紹介したりしています。
030
私がするのは特別支援学校や特別支援学級の関係の先生が多いので,受け入れてもらえるようですが,小学校で同じような講演をするとけっこうその場の空気が凍るようです。
小学校研修会
YAJICさんも書かれていますが

もちろん、漢字の指導はしていいんです。きれいに書くために筆順も教えていいと思います。筆順で漢字覚える子もいるでしょう。
でも評価は多様であっていいと思います。×はつけられないと思います。ここに力を注ぐより、もっと他に力を入れた方がいいと思うんです

といってもアウエーな感じだったようです。
実際には漢字がまったく書けなくても,大学に進学できる人がいます。
誰だか分かりますか?
点字を使用する全盲の方です。
点字の表記はひらがなです。
漢字ではありません。
(漢字表記の点字もあるにはありますが)
彼らはそれで大学にも進学しますし,十分な知識と技能を持っていらっしゃいます。
そういった意味では,別の媒体で学ぶことは否定できないはず。
発達障害や肢体不自由の子どもたちにも同様な合理的配慮がされていくようになってほしいと思います。
ちなみにYAJICさんが書かれていた本はこちら

https://amzn.to/2HRnIdH

また,文部省が出した「筆順指導について」は原典が探し当てられなかったのですが
上越教育大学の押木先生が丁寧に解説した資料が見つかりました。
書写書道特論 配付資料等
の中の
筆順指導の手びきからわかること
参考にしてみて下さい。

その4

今回は,その1で紹介した高校生の動画がYoutubeにあがっていましたので,紹介します。


これだと,タブレットPCでも見られますね。

その5

文化審議会が昨日の2月29日にこんな資料を出しました。

http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/2016022902.html

以下引用

漢字の字体・字形については,昭和24年の「当用漢字字体表」以来,その文字特有の骨組みが読み取れるのであれば,誤りとはしないという考え方を取っており,平成22年に改定された「常用漢字表」でも,その考え方を継承している。
しかし,近年,手書き文字と印刷文字の表し方に習慣に基づく違いがあることが理解されにくくなっている。また,文字の細部に必要以上の注意が向けられ,正誤が決められる傾向が生じている。
今回の報告では,漢字の字体・字形について詳しく解説するとともに,常用漢字(2,136字)全てについて,印刷文字と手書き文字のバリエーションを分かりやすく例示している。

大手新聞社も以下のような情報を出していますね。

http://www.asahi.com/articles/ASJ2Y5613J2YUCLV00C.html?iref=comtop_6_06

さて、文化庁の資料には表題の入試について以下のように書かれています。

Q27 入学・採用試験等における字体・字形の扱い
入学試験や採用試験などの漢字の書き取り問題では,どのような考え方に基づいた採点
が行われるのが望ましいでしょうか。

A 事前に採点の基準を公開しているのでなければ,常用漢字表の考え方に基づいた評価が行
われることが望まれます。

2016022902_besshi02
これらを受けたうえで、学校教育の中でどのように教えていくか、教員の皆さんに考えていってもらいたいですね。

その6

今回は、それでいうと6回目かな?
横浜の内山さんがFacebookで以下のようなことを書かれていました。

ASDとLDのある小学生で、一生懸命漢字のドリルを書いているのに、「止め」「はね」が教科書体と違うというので、バッテンをつけられている子どもがまだまだいる。「とめ」「はらい」問題は文化庁の指針やら、意味がわかりにくい大臣答弁やらが話題になり、色々な意見があると思うけど、なんとか解読できる字がかけるようになった子どもに「とめ」「はらい」が違うからといって×にしたり、「ちゃんと書かないと点数はあげられません」とかコメントするのはやめて欲しい。
下記サイトが参考になります

ということで、こちらのサイトを紹介して下さいました。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/068/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/03/31/1369048_05_2.pdf

解説するまでも無く、これまでと同じで、国としては,細かく指導しなくてもいいといっているんですけどね。学校はなかなかそうはならない。
信州カンファでは今年もこの下敷きを販売していたようです。

http://blog.livedoor.jp/shinshu_confe/archives/1884226.html

現在こちらで販売されています。

https://www.magicaltoybox.org/kinta/2017/11/07/15839/

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